グリーフケアセッション「あまやどり」を始めます― Holistic Grief Careという新しい挑戦 ―

この春、はこぶねでは
オンラインでのグリーフケアセッション
「あまやどり」
を始めることになりました。
あまやどりとは、
冷たい雨が降るときに、
少しだけ雨をしのぎ、息を整える場所。
人生には、突然の雨のように訪れる出来事があります。
大切な人との死別
流産や死産
離婚
引っ越し
病気
仕事の変化
金銭トラブル
ペットロス
こうした出来事は、
私たちの心に深い悲しみや戸惑いをもたらします。
これらはすべて
**「グリーフ(悲嘆)」**と呼ばれるものです。
グリーフケアとは何か
グリーフケアとは、
大切な人や存在を失ったときに感じる悲しみや喪失感に寄り添い、
その人のペースで心を整えていくサポートです。
一般的には「死別の悲しみ」として知られていますが、
グリーフ(悲嘆)はそれだけではありません。
先ほどあげました人生の中でのさまざまな「喪失」たち。
たとえば
・流産や死産
・離婚
・引っ越し
・卒業
・転職
・病気や健康の変化
・経済的な問題
・大切なペットとの別れ
一見、
喜ばしい出来事の中にもグリーフは存在します。
けれども日本では、
その悲しみを安心して話せる場所は
まだ多くありません。
「もう大丈夫?」
「前を向いて」
そんな言葉をかけられて、
本当の気持ちをしまい込んでしまう人も
少なくないのではないでしょうか。
そこで、はこぶねでは
安心して想いを語れる場所として
グリーフケアセッション「あまやどり」を始めます。
私はこの場所で、
Companioning コンパニオニング
(伴走型グリーフケア)
「先生」ではなく伴走者として、
ご相談者さまの隣に座りたいと思っています。
Life Transition Grief(人生の転機の悲嘆)
心理学では、
Life Transition Grief(ライフトランジション・グリーフ)
という言葉があります。
これは
結婚
転職
引っ越し
子どもの独立
定年
など、生活環境や役割の大きな変化に伴う喪失感や寂しさ、不安を感じる
自然な心理反応のことを指します。
ポジティブな変化であっても、
「過去の自分」や「これまでの生活」を失う痛みを伴うことがあります。
人は新しい人生へ進むとき、
同時に何かを手放しているのです。
海外のグリーフ研究でも知られていること
スイス出身の精神科医
Elisabeth Kübler-Ross(エリザベス・キューブラー=ロス)
は、悲しみの過程を
「グリーフの5段階」
として紹介しました。
否認
怒り
取引
抑うつ
受容
人はこのような感情を行き来しながら、
少しずつ悲しみと共に生きていくと言われています。
ただし、この順番通りに進むわけではありません。
行きつ戻りつしながら、
その人なりのペースで進んでいくものです。
だからこそ、
急いで乗り越える必要はないのです。
海外で広がっているグリーフケアの形
近年、海外では
新しいグリーフケアの形が広がっています。
それは
専門家 × 経験者
が一緒に寄り添う形です。
カウンセラーだけではなく、
同じような経験をした人が共に話を聴くことで
「わかってもらえた」
という深い安心感が生まれると言われています。
あまやどりでも
この考え方を大切にし、
ご相談者さまと私の1対1セッションとは別に
私と、複数のグリーフを経験したサポーターが
一緒に寄り添う形のセッションも行う予定です。
経験者は、
アドバイスをする人ではありません。
ただ、
「私のときは、こうだったよ」
と静かに分かち合う存在です。
それだけで、
孤独だった悲しみが
少し和らぐことがあります。
Holistic Grief Careという考え方
あまやどりの背景には
Holistic Grief Care
(ホリスティック・グリーフケア)
という考え方があります。
Holisticとは
「全体的な」「統合的な」
という意味です。
悲しみは、
心だけに起きるものではありません。
体にも現れます。
眠れなくなったり
食欲がなくなったり
体が重くなったり。
また、
環境も大きく関係しています。
自然の中で少し呼吸が整うこともあります。
人と話すことで
心が軽くなることもあります。
だから私は
心・体・自然
この3つを大切にした
グリーフケアを目指しています。
はこぶねではこれまでも
木育
自然体験
アロマ
お話会
など、さまざまな活動を行ってきました。
それらもまた
人の心を癒す大切な要素だと感じています。
あまやどりは「港」になりたい
あまやどりは
一つの相談室で終わるものではなく、
「港」のような場所
になれたらと思っています。
雨の中を歩いてきた人が
少し休み、
また自分の道へ戻っていく場所。
そしていつか、
自分が誰かの雨宿りの場所になる。
そんな循環が生まれたら
素敵だなと思っています。
もしセッションを通して
100人の方と出会えたら、
今度は
地域ナビゲーター
のような存在を育てる
小さな研修会を開きたいと考えています。
それぞれの地域で
小さな「あまやどり」が生まれる。
そんな未来を
少しずつ形にできたらと思っています。
最後に
グリーフは「乗り越えるもの」ではなく、
人生の中で折り合いをつけながら生きていくものとされています。
悲しみは、なくなるものではありません。
けれども、その悲しみと共に生きていく力は、
人の中に静かに育っていくものだと私は信じています。
けれども
1人では難しいときがあります。
吐き出したいときがあります。
そんなときに頼ってください。
「あまやどり」は、
その時間をひとりで抱えなくていい場所です。
冷たいグリーフという雨の中で、
少しだけ息を整え、
またそれぞれの歩幅で歩き出すための場所です。
今日はグリーフケアセッション「あまやどり」をはじめる前の今の想いをつづりました。


