江藤弥生 作品展 ― めぐる いのちの記憶 ―
歌絵本『よくたべるこは』の原画が、久しぶりに私のもとへ帰ってきました。
せっかく帰ってきたのだから、もう一度たくさんの方に見ていただきたい。
そして、なんだか「自分を表現したい」気持ちが久しぶりに沸き上がりました。
そんな想いから、10月に作品展を開催することにしました。
今回の作品展では、歌絵本『よくたべるこは』の原画をはじめ、花はすお話会で販売しているポストカードの原画、木育やグリーフケアなど、これまでの活動を通して感じたことから生まれた作品を展示します。
新しく制作するアート作品やポストカードの販売も予定しています。
歌絵本『よくたべるこは』
「よくたべるこは よくわらうんだ
ぱぱもままも うれしいな 〇〇のえがお」
〇〇に入るのは、その子の名前です。
食べること。
笑うこと。
名前を呼ぶこと。
なかなか離乳食を食べなかった息子がしっかり食べてくれるように、
と当時自作した思い出の歌を手直しして作った歌絵本です。
息子の命が芽生えた沖縄の離島で一緒に活動していた手話サークル「くめしゅわ」の皆さんのアドバイスを受けながら手話も添えて、手話歌として動画も残しています。
そして、私は何気ない毎日の中でたくさんの「いのちの記憶」を感じています。
今回の作品展では、『よくたべるこは』の原画を数点ずつ、会期中に一部入れ替えながら展示する予定です。

花はすお話会から生まれたもの
2023年10月13日から、流産や死産など、大切な小さないのちとのお別れを経験した方やそのご家族が、安心して気持ちを語ることのできる機会と場所として「花はすお話会」の活動を続けています。
話してもいい。
話さなくてもいい。
悲しみ方も、その後の歩み方も、一人ひとり違います。
今回の作品展では、花はすお話会で販売しているポストカードの原画も展示します。
花はすお話会で活動資金として作ったポストカードの販売も行います。
実は日頃からこのポストカードは今回の個展の会場である「ものづくりroomポワン」にて販売しています。
そして、グリーフケアに関わる中で私が感じてきたことを、色や形、水彩のにじみなどで表現した作品にも取り組みます。
亡くなった小さないのちのお名前を描く作品も制作する予定です。
今後、お名前を描くこともできたらと思っています。
私の作品は悲しみを消すためのアートではありません。
大切ないのちが、確かにここにあったこと。
そして、その記憶とともに生きていくこと。
そんな想いを、絵という形でも残していけたらと思っています。

花はすお話会でつくる「命名軸」(お名前でなくお好きな文字でもOK)
この文字は一緒に活動しているスタッフが書いた文字です。
江藤は軸と軸立てを担当しています。
木や森から感じた「めぐる」
もう一つ、私の活動の大きな柱となっているのが「木育」です。
こちらは2023年10月15日が創立記念日です。
偶然にも同じ2023年10月なのです。
不思議でしょう。
私は福岡県木育推進員任意団体「MOKUMOCO(モクモコ)」として、木や森の大切さ、私たちの暮らしと自然とのつながりを伝える活動をしています。
森に入ると、同じ「木」と呼ばれるものでも、一つひとつ違うことに気づきます。
葉っぱの形も、幹の色も、香りも違う。
花をみごとに咲かせる木もあれば、たくさんの実をつける木もあります。
人も同じです。
どの木も違う。
誰一人、同じ人はいない。
私は子どもたちに、
「人は木、町は森」
という話をすることがありました。
木はその土地に根を張り、土から水や栄養をもらって育ちます。
人も、地域の自然や文化、食べ物、人との出会いなど、さまざまなものを受け取りながら育っていく。
地域が人を育て、人が地域を育てる。
そこにも一つの循環があります。
森に降った雨は土にしみ込み、川となり、やがて海へと流れていきます。
海の水は再び空へとのぼり、雨となって森へ戻ってくる。
水はめぐる。
いのちも、めぐる。
今回の作品展では、木育講座で参加者たちに教えてきた「ビー玉迷路」や他の木を使った作品、これから登場する予定の木の作品、また私が木育を通して感じてきた「いのちの記憶」を表現した作品も制作します。

江藤作のビー玉迷路の見本
― めぐる いのちの記憶 ―
絵本を描くこと。
グリーフケアに関わること。
木や森の大切さを伝えること。
そして、絵を描くこと。
以前は、それぞれ違う活動のように思っていました。
けれど、活動を続ける中で、少しずつ一つにつながってきました。
食べることも、
生まれることも、
育つことも、
誰かを想うことも、
別れを経験することも、
森を育てることも。
すべて「いのち」がかかわります。
そして、私たちの中にある記憶も、なくなってしまうのではなく、形を変えながらめぐっていきます。
経験の捉え方が変わり、記憶がかきかわっていく。
そんな想いから、今回の作品展を
「― めぐる いのちの記憶 ―」
と名づけました。
偶然重なった10月9日からの一週間
今回の会期は、偶然にも10月9日から15日までのBaby Loss Awareness Weekと重なりました。
会期を合わせて決めたわけではなく、たまたま空いていた日程がこの期間でした。
そして10月15日には、作品展会場から徒歩約5分のリブリオ行橋で「第三回花はすマルシェ」を開催します。
なぜか別々につくったはずの「花はすお話会」と「MOKUMOCO」が両方とも少しずつ重なり、大きく育っています。
両方とも「いのち」を大事にすることを伝えているんだと思うようになりました。
これもまた、一つの「めぐり」が大きく螺旋を描く姿が私の中でうずまきます。
これから生まれる作品も
この記事を書いている今、これから制作する作品もあります。
木育で森に入り、グリーフケアを通して人の想いに触れ、日々の暮らしの中で感じてきたこと。
それらが私の中をめぐり、どんな色や形になって現れるのか。
私自身も楽しみにしながら、一枚ずつ制作していきたいと思います。
絵本の中にある子どもの笑顔。
森を流れる水。
木々が重ねてきた時間。
大切な人との記憶。
そして、これから芽吹いていくもの。
作品をご覧いただきながら、ご自身の中にある「いのちの記憶」に、そっと心を向けていただける時間になればうれしいです。
開催概要
江藤弥生 作品展
― めぐる いのちの記憶 ―
会期
2026年10月9日(金)~10月16日(金)
時間
11:00~18:00
※最終日は15:00まで
※10月13日(火)は定休日
会場
ものづくりroomポワン
岡県行橋市宮市町8-1(ハミング通り商店街内)
※お車でお越しの方はリブリオ行橋の駐車場かお近くの駐車場にお停めください。
※JR日豊本線行橋駅「行橋駅東口」から徒歩約5分
入場無料
主な展示内容
・歌絵本『よくたべるこは』原画
・花はすお話会 ポストカード原画
・木育・森・水の循環から生まれた作品
・グリーフケアから生まれた作品
・新作アート作品 ほか
作品・ポストカードの一部は販売予定です。
江藤弥生/ATELIER ETO

